直接ビリルビンが上昇する原因

D.Bil 検査

基準値:0~0.4mg/dL ※施設によって異なる
検査目的:肝細胞障害, 胆汁排泄障害の診断

非抱合型ビリルビンは, 肝臓でUDPGTの作用により, 抱合型ビリルビンに変化した後, 胆汁中に排泄される. この抱合型ビリルビンが, 直接ビリルビンに相当し, これは水溶性である. 直接ビリルビンの増加は, 肝胆道系疾患, 肝細胞障害, 肝内胆汁うっ滞, 胆道閉塞の存在を示唆する. 肝炎, 肝硬変などの肝細胞障害では, 細胞内小器官や毛細胆管の破綻により, ビリルビンが血中に流入する. 肝実質障害が強ければ間接ビリルビンの取り込み障害により, 高間接ビリルビン血症も同時に出現する. 肝内外の胆汁うっ滞では, ビリルビンの逆流により高直接ビリルビン血症が出現する. 体質性黄疸としては, 抱合型ビリルビンの排泄障害に起因する, Dubin-Johnson症候群, Rotor症候群がある.

直接ビリルビン値 考えられる病態・疾患
上昇 0.4~5 mg/dL [高頻度・可能性]急性肝炎, 慢性肝炎, 肝硬変, 肝癌, 劇症肝炎, アルコール性肝炎, 自己免疫性肝炎, 薬物性肝障害, 急性脂肪肝, 肝内胆汁うっ滞, 原発性胆汁性肝硬変, 原発性硬化性胆管炎, 閉塞性黄疸, 肝膿瘍, ヘモクロマトーシス, ウィルソン病, Dubin Johnson 症候群,  Rotor 症候群, レプトスピラ症
5~20mg/dL [高頻度・可能性]急性肝炎, 非代償性肝硬変, 肝癌, 劇症肝炎, アルコール性肝炎, 自己免疫性肝炎, 薬物性肝障害, 急性脂肪肝, 肝内胆汁うっ滞, 原発性胆汁性肝硬変, 原発性硬化性胆管炎, 閉塞性黄疸, レプトスピラ症
20mg/dL以上 [高頻度・可能性]急性肝炎, 非代償性肝硬変, 肝癌, 劇症肝炎, 急性脂肪肝, 原発性胆汁性肝硬変, 原発性硬化性胆管炎, 閉塞性黄疸

参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データ
診断に自信がつく検査値の読み方教えます

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