基準値:男性57~197 IU/L、女性32~180 IU/L ※施設によって異なる
検査目的:心臓を含む筋疾患の診断、経過の把握
クレアチンキナーゼは、心筋と骨格筋の障害で上昇する。日常臨床では急性心筋梗塞の診断に有用。小さい梗塞や不安定狭心症では、経時的に測定を繰り返す必要がある。心筋と骨格筋ではアイソザイムが異なるので、鑑別に有用。甲状腺機能低下症で、AST、LDH などとともに上昇する。原因は酵素の代謝が遅延するためとされるが、一部は骨格筋由来とも考えられる。
心筋と骨格筋のアイソザイムは、それぞれMB、MMである。MB の上昇は通常、心筋由来であるが、骨格筋も再生中は CK-MBを多く含むので、多発性筋炎などでは CK-MB を見ることがある。心筋梗塞で末梢循環不全を伴う場合 CK-MMも同時に上昇し、CK-MBの占める割合が低下する場合があり、紛らわしい。またCK-BBは脳、平滑筋由来、CKmはミトコンドリア由来である。
CK値 | 考えられる病態・疾患 | |
上昇 | 2000 IU/L以上 | [高頻度]急性心筋梗塞 [可能性]心筋炎, 進行性筋ジストロフィー(Duchenne型, 肢体型), 悪性高熱症(サクシニルコリン全身麻酔), 末梢循環不全, 多発性筋炎, 皮膚筋炎, 外傷や熱傷や動脈閉塞による筋障害, 筋型糖原病 |
500~2000 IU/L | [高頻度]急性心筋梗塞 [可能性]心筋炎, 進行性筋ジストロフィー(Duchenne型, 肢体型), 末梢循環不全, 多発性筋炎, 皮膚筋炎, 甲状腺機能低下症, 外傷や熱傷や動脈閉塞による筋障害 |
|
基準上限~500 IU/L | [可能性]急性心筋梗塞, 心筋炎, 心外膜炎, 進行性筋ジストロフィー(Duchenne型, 肢体型), 多発性筋炎, 皮膚筋炎, アルコール多飲者, 甲状腺機能低下症, 周期性四肢麻痺, 神経原性ミオパチー, 筋強直性ジストロフィー, 脳外傷, 脳梗塞, βブロッカー | |
低下 | 基準下限以下 | [高頻度]甲状腺機能亢進症 [可能性]妊娠, 長期臥床 |
参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データ
診断に自信がつく検査値の読み方教えます
コメント