ALTが上昇、低下する原因

ALT 検査

基準値:6~43 IU/L ※基準値は施設によって異なる
検査目的:肝細胞からの逸脱酵素であり、肝胆道系疾患、特に肝疾患の検出、程度、経過把握の重要な指標

ALT は主として肝細胞内に存在する酵素で肝細胞の壊死破壊によって血中に逸脱する。
このため血中 ALT 活性の上昇は、肝細胞の壊死、破壊の程度を反映する。しかし厳密には細胞内の含量や形質膜透過性の影響を受ける。肝細胞の壊死、破壊の原因は、肝炎ウイルス、薬物、虚血など、何でも良い。疾患ごとに臨床症状や経過に特徴があり、鑑別上重要である。例えば、虚血性肝炎では、酸素供給の低下によって生ずる形質膜の透過性変化により、一過性にALT が逸脱し以後逸脱が止まるため、血中半減期(約41時間)に従って急速な回復を示す

溶血でやや上昇するが AST ほどではない 。

ALT値 考えられる病態・疾患
上昇 1000 IU/L以上 [高頻度]ウイルス性急性肝炎(極期), ウイルス性慢性肝炎の急性増悪
[可能性]劇症肝炎, 薬物性肝障害, 虚血性肝炎(ピーク時)
500~1000 IU/L [高頻度]ウイルス性急性肝炎(極期), ウイルス性慢性肝炎の急性増悪
[可能性]急性アルコール性肝炎, 薬物性肝障害, 肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎, 総胆管結石
100~500 IU/L [高頻度]ウイルス性慢性肝炎
[可能性]自己免疫性肝炎, 急性アルコール性肝炎, 薬物性肝障害, 脂肪肝, 肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎, 閉塞性黄疸, 原発性胆汁性肝硬変
基準値上限~100 IU/L [高頻度]ウイルス性慢性肝炎, 肝硬変, 肝細胞癌, 脂肪肝
[可能性]自己免疫性肝炎, 薬物性肝障害, 閉塞性黄疸, 甲状腺機能亢進症

参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データ
診断に自信がつく検査値の読み方教えます

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