研修医が麻酔科ローテ中、指導医によくされる質問。
エフェドリンと ネオシネジン(フェニレフリン) は両者とも、麻酔中に生じる一過性の血圧低下に対して使用する。
エフェドリンは、αおよびβ受容体への直接作用と、交感神経節後神経終末からのノルアドレナリン遊離を促進する間接作用により心拍数増加・心拍出量増加、気管支拡張作用を示す。投与量が少ない場合は、β受容体への作用が優位となり血圧低下が先行することがあるため、緊急時は多めの投与量(8mg)が望ましい。
ネオシネジン は、 選択的α1刺激薬。末梢血管を収縮させて血圧を上昇させる。β作用はほとんどない。
エフェドリンは心拍数を増加させるが ネオシネジンは反射により心拍数が低下するそのため、大動脈弁狭窄症などを合併する患者では ネオシネジンの方が使いやすい。しかし、 ネオシネジンは心拍出量を低下させ心筋仕事量と肺血管抵抗を増加させるため、心予備力が低下した症例や肺高血圧を有する症例では状態を悪化させる可能性がある。
作用 | 心拍数 | 平均血圧 | 心拍出量 | 末梢血管抵抗 | 気管支拡張 | 腎血流 | |
エフェドリン | α, β | ⇧⇧ | ⇧⇧ | ⇧⇧ | ⇧ | ⇧⇧ | ⇩⇩ |
ネオシネジン (フェニレフリン) | α | ⇩ | ⇧⇧⇧ | ⇩ | ⇧⇧⇧ | ー | ⇩⇩⇩ |
エフェドリンの用法・用量
溶液9mLとエフェドリン1A (40mg 1mL/A) で、4mg/mLに希釈
1回あたり4mg/mL~8mg/2mLを静注
ネオシネジンの用法・用量
溶液9mLとネオシネジン1A(1mg 1mL/A)で、0.1mg/mLに希釈
1回あたり0.05mg/0.5mL~0.2mg/2mLを静注
参考文献
改訂版 麻酔科 薬剤 ノート
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