ビーフリードの長時間投与はなぜNG?

救急科

ビーフリードの長時間投与はなぜNG?

長時間投与により、細菌増殖に適したpHとなるから

・ビーフリードはブドウ糖に加えてアミノ酸も配合しているため、浸透圧が高く、静脈炎(血管痛)がネックとなる。そこで、pHを血漿pHに近づけて血管痛を起こさないようにしている。しかし、pHを中性に近づけることで、 細菌増殖に適した環境( 最適pH6.0〜7.5 )となるデメリットもある。

ビーフリードは細菌増殖に適したpH

右図はビーフリード、ソルデム3A、フィジオ35にセレウス菌を接種した後の経過時間と菌量の変化を示している。ビーフリードは9時間後には増殖が起こり、24時間後には血液培地一面を覆う程増殖した。ビーフリードのpHが細菌増殖に適しており、糖とアミノ酸が細菌の増殖の養分として十分含まれているためではないかと考えられる。
臨床検査技師のためのチーム医療教本より引用

  • 原則、ビーフリード使用時の混注は避けること
  • 同一袋の投与時間は12時間以内に(8時間以内)
  • 閉鎖式回路を使用する

・ビーフリードの投与時間ルールは病院によって異なる。(8時間以内, 12時間以内etc…)

・ビーフリード輸液は、抹消静脈から投与する輸液製剤。 経口摂取不十分の人にアミノ酸、電解質、ビタミンB1や水分を補給する目的で使用する。

・静脈栄養は中心静脈が基本だが、管理のしやすさやから末梢静脈栄養が選択されることがある。

・本来弱毒菌で免疫能が正常な人には症状がないと思われていたB.cereus 菌血症のリスク因子であるとの報告あり。

【用法及び用量】
用時に隔壁を開通して上室液と下室液をよく混合する。通常、成人には1回500mLを末梢静脈内に点滴静注する。投与速度は、通常、成人500mLあたり120分を基準とし、高齢者、重篤な患者には更に緩徐に注入する。なお、年齢、症状、体重により適宜増減するが、最大投与量は1日2500mLまでとする。

ビーフリード輸液 添付文書

参考文献

臨床検査技師のためのチーム医療教本

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