研修医1年目の4月。新生活も仕事もまだまだ不慣れな時期です。救急外来ではルートすらも満足にとれず、手技だけでいっぱいいっぱいになっていました。5月、6月になってくると手技が出来るようになり、鑑別なども考えられる余裕が出てくるようになります。
ある救急外来での1日
指導医「研修医くん!血ガス取ってね、Vでいいよ。」
研修医「AガスじゃなくてVでいいのか。ホッ。ルートのついでに血ガス用のシリンジでとれば楽勝。しかも、血ガスは機械に突っ込んですぐに結果が出るから便利やなー。どれどれ、上から数値をサーッと眺めながら…Lac4mmol/L」
指導医「研修医くん!血ガスの値はどう?なんかあった?」
研修医「乳酸値は4mmol/L以上で末梢循環不全が疑われます。」
指導医「どんな鑑別が考えられるかな」などと血液ガスの乳酸値(Lac)を活用していました。
病院のシステムに慣れたころ、地域実習で田舎の病院に行くことになりました。
ナースステーションでまったり談笑中しながら患者さんの血ガスの結果をチェックすると。
研修医「今朝の血ガスの結果は…Lac20!!!」
なんとLacが2桁になっていたのです。すぐにベッドサイドに向かいましたが、他の看護師さんはあせっていない。患者さんもケロッとしてる。焦ってるのは自分だけ。しかし、心配になり急いで指導医に電話しました。
研修医「先生、○○さん。今朝の血ガスで乳酸値(Lac)20とめちゃくちゃ上がってます!」
指導医「アホか(笑)この人の乳酸値(Lac)は大丈夫だよ。単位を見てみな」
研修医「///(真っ赤)」
それまでLacの単位を気にしたことはありませんでしたが、なんとLacの単位は2種類あることをその時に初めて知りました。
普段見慣れている単位はmmol/Lで国際標準の単位です。しかし、その施設のLacの単位はmg/dL表記だったのです。
上記換算式にあてはめると、Lac20mg/dL≒2mmol/Lでそこまで焦る数値ではありません。
めんどくさい!緊急性の高い時にこんな計算してられるかい!ってことで最近ではLac×0.1と頭の中で換算出来る様になりました。
mmol/L表記の施設がほとんどだと思いますが、もし古い施設へ赴任した時はLacがmg/dl表記でないか注意してみるといいかもしれません。
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