どうも!定額働かせ放題万歳!36時間勤務歓迎!令和のハイパー研修医!どすこい研修医です。
患者さんの訴えで多いものの一つとして「しびれ」があります。しびれの原因として最も多いのが末梢神経障害であり、その中でも手根管症候群はよく遭遇する疾患です。
手根管症候群とは、正中神経が手根管内で絞扼、圧迫されることにより手がしびれる末梢神経障害です。Tinel徴候、Phalenテストなど所見がたくさんありますが、結局どの所見が使えるの?って疑問に思ったことはありませんか?
そんなの悩まずに整形外科コンサルでしょ!って考えも悪くないと思います。整形の先生はノリが良くてすぐコンサル受けて下さいますし。
がしかし!よく遭遇する疾患は確率を上げて華麗にコンサルトしたい。
ってことで、それぞれの身体所見の感度、特異度を調べてみました。
Tinel徴候とPhalen徴候の感度、特異度
感度 | 特異度 | LR+ | LR- | |
Tinel徴候 | 23-60 | 64-80 | 1.4(1.0-1.9) | 0.8(0.7-1.0) |
Phalenテスト | 10-91 | 33-86 | 1.3(1.1-1.6) | 0.7(0.6-0.9) |
JAMA. 2000 Jun 21;283(23):3110-7.
手根管症候群といえば、Tinel徴候とPhalenテストと思っていましたが、 感度・特異度は意外と高くないのですね。
母指外転筋力低下、正中神経領域のしびれの感度・特異度
Tinel徴候やPhalenテスト以外の所見はどうでしょうか。
正中神経領域のしびれはLR+(陽性尤度比)が3.1です。
母指外転筋の筋力低下は、LR+(陽性尤度比)が 1.8です。
両者とも、ティネル徴候LR+1.4とPhalenテスト LR+1.3を上回っています。
感度 | 特異度 | LR+ | LR- | |
母指外転筋力低下 | 63-66 | 62-66 | 1.8(1.4-2.3) | 0.5(0.4-0.7) |
正中神経領域のしびれ | 15-51 | 85-93 | 3.1(2.0-5.1) | 0.7(0.5-1.1) |
JAMA. 2000 Jun 21;283(23):3110-7.
どすこい所感
以上の結果から、Tinel徴候とPhalenテストが使えないということではありません。
経験豊富な先生が行えば、Tinel徴候やPhalenテストは陽性尤度比がぐぐっと上がる検査とも言えます。実際、どすこいが陪席させて頂いた手外科専門医がとるTinel徴候は質が全然違いました。叩き方や部位が繊細で、どすこいが力いっぱい叩いてドヤったTinel陰性所見が手外科先生の繊細なタッピングで陽性となりました。患者さん、その節は痛い思いをさせてしまいすみませんでした汗
まだまだ豊富に症例を経験していない研修医は、Tinel徴候やPhalenテストを参考にしつつ、しびれの範囲をしっかりと聴取することが診断につながりそうです。
正中神経の支配領域は以下の記事が参考になります。図付きで解説しています。
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