キアリ奇形Ⅰ型とⅡ型の覚え方
これはシンプルに覚えました。Ⅰ型だから大後頭孔へ落ち込むのは小脳の1つ。また、Ⅰ型のⅠは直線型の空洞に形が似ていることから、合併症として脊髄空洞症を連想します。
Ⅱ型なら大後頭孔へ落ち込む組織は小脳と延髄の2つ。合併症は、Ⅰ型の合併症以外の2つと覚えて省エネしました。選択肢で水頭症と脊髄髄膜瘤が出てくれば、正確に覚えてなくてもⅠ型の合併症が脊髄空洞症であることを押さえておけば、キアリ奇形Ⅱ型の合併症とし選択肢は選べます。
細かな違いとして、大後頭孔へ落ち込む小脳の部位が異なります。キアリⅠ型は小脳『扁桃』が大後頭孔へ陥入するのに対して、キアリⅡ型は小脳『虫部』が陥入します。
キアリ奇形まとめ
分類 | Ⅰ型 | Ⅱ型 |
下垂する組織 | 小脳扁桃 | 延髄、第四脳室、小脳虫部 |
画像 | ||
発症年齢 | 成人、小児 | 乳幼児 |
臨床症状 | 後頭部痛・項部痛 | 嚥下困難・無呼吸発作・吸気性喘鳴 |
水頭症 | 10% | 90% |
脊髄空洞症 | 50~85% | 20% |
脊髄髄膜瘤 | なし | 100% |
医師国家試験の問題
111D40
12歳の男児。サッカーの練習をすると頭が痛くなることを主訴に父親に連れられて来院した。安静時は体位にかかわらず頭痛はない。意識は清明。脈拍76/分、整。血圧126/74mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。頭部MRIのT2強調矢状断像を別に示す。
今後、発症する可能性が最も高いのはどれか。
a. 水頭症
b. 脳梗塞
c. 脊髄空洞症
d. くも膜嚢胞
e. 小脳血管芽腫
解答:c キアリⅠ型
96D47
48歳の女性.2,3年前から歩行障害が出現し,最近,悪化したため来院した.意識は清明で,知的機能低下はない.構音障害,眼振,運動失調および四肢の感覚鈍麻と筋力低下とを認める.頭頸部MRIのT1強調矢状断像を次に示す.
MRIでみられるのはどれか.2つ選べ
a. 髄膜瘤
b. 頭蓋咽頭腫
c. Chiari奇形
d. 頭蓋底陥入症
e. Klippel-Feil症候群
解答:c,d キアリⅡ型
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