本日の論文 側弯症の治療:自動圧迫調節式装具 vs 従来の装具
研究デザイン:無作為化比較試験。
目的:思春期特発性側弯症(AIS)の治療における自動圧迫調節式装具(PO)と従来の装具(CO)の有効性を比較すること。
背景:装具の装着品質はAISに対する有効性に影響を及ぼす可能性がある。自動化されたPOは、より最適化された一貫したバイオメカニクス環境を提供することを目的としていた。この革新的な装具の有効性を研究するために臨床評価が行われた。
方法:基準(年齢10~14歳、コブ20°~40°、リッサーサイン0~2)を満たすAIS患者を2つのクリニックから募集し、PO群とCO群に無作為に割り付けた。両群にコンプライアンスセンサーを埋め込み、PO群は処方通りに自動的に界面圧(interfacial pressure)を調整するように設定した。ベースライン時、装具装着直後、1年後のフォローアップ時に臨床評価(放射線学的評価、QoL)を実施した。装具装着コンプライアンスは、温度センサーと圧力センサーを使用して追跡された。
結果:24人の患者が登録されたが、脱落者は1人(PO、n = 11;CO、n = 12)であった。PO群(11.0°±6.5°、42.0%、P < 0.001)とCO群(10.3°±5.3°、37.6%、P < 0.001)で有意な即時の装具内矯正が観察された。1年後、PO群では1人も進行しなかったが、CO群では2人が5°以上進行した。1日の平均装着時間は、PO群がCO群に比べて1.1時間長かった(15.4±4.5時間 vs. 14.3±3.8時間)。さらに、目標圧内での装着品質はPO群で33.9%高かった(56.5±16.5% vs. 23.1±12.1%、P<0.001)。QoLの結果には、試験期間中、両群間および両群内で有意差は認められなかった。
結論:本研究は、自動POがCOと比較して装着の質を向上させ、患者の装着量とQoLに悪影響を与えることなく、試験期間中、より優れた生体力学的矯正効果を提供できることを示した。
リッサーサイン(Risser sign)とは?
リッサーサインとは、小児の成長余力の指標。レントゲンにうつる腸骨稜の骨端核で骨の成熟度を判断する。側弯症は成長期に進行するため、側弯症の進行を予測するために、risser signを活用する。腸骨稜の骨端核が現れない思春期前をRisser0とし、骨端核が現れる思春期に腸骨稜を4等分して外側から内側に向かって、骨端核の成長度に応じてRisser1~4と分類する。下図1の領域1をRisser 1(10~12歳)とし、15~16歳までにRisser4まで進展し、17歳~19歳で腸骨本体と癒合(Risser5)する。Risser5 に近づくほど骨が成熟していることを示す。
参考文献
標準整形外科学 第14版
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