血中尿素窒素(BUN)が上昇・低下する原因

BUN 検査

基準値:9~21mg/dL ※基準値は施設により異なる
検査目的:腎機能の評価

組織タンパク質や食事蛋白質の分解により生じたアミノ酸の脱アミノ反応により生じたアンモニアが最終的に肝臓の尿素回路で代謝されて尿素となる。血中に放出された尿素は、腎糸球体で濾過された後35~70%が尿細管で再吸収され、残りが尿中に排出される。尿細管の再吸収量は尿量に強く依存し、2mL/分以下では尿量の減少に応じて再吸収量が増加する。水利尿時には、主として近位尿細管で35~40%が再吸収されるのみであるが、尿濃縮時には、近位尿細管で約40%、遠位尿細管で約25%、計65%程度が再吸収される。

BUN の異常は、主に腎からの尿素排泄異常を反映しているが、腎外性因子にも強く影響を受ける。すなわち①腎前性因子(脱水, 心不全, 出血など)による再吸収率の亢進や、②高蛋白食, 消化管出血, 組織の異化亢進/崩壊時の尿素産生の亢進により増加する。

BUN値 考えられる病態・疾患
低下 9mg/dL以下 [高頻度・可能性]肝不全, 低蛋白食, 妊娠, 多尿(尿崩症, マニトール利尿など)
上昇 21~30mg/dL [高頻度・可能性]高蛋白食, 絶食, 低カロリー食, 副腎皮質ステロイド剤使用時, 甲状腺機能亢進症, 腎機能障害, 消化管出血, 脱水, 心不全, 閉塞性尿路疾患
30~60mg/dL [高頻度・可能性]腎機能障害, 消化管出血, 脱水, 心不全, 閉塞性尿路疾患
60mg/dL以上 [高頻度]腎不全
[可能性]心不全, 高度血管内脱水(肝不全, 癌などの腹水貯留)

参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データ
診断に自信がつく検査値の読み方教えます

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