ANCA関連血管炎の特徴
ANCA(抗好中球細胞質抗体)は、 好中球の細胞質に対する自己抗体です。蛍光抗体法による染まり方で 好中球細胞質がびまん性に染色されるC-ANCA(cytoplasmic ANCA)と、好中球の核周辺が強く染色されるP-ANCA(perinuclear ANCA)の2つに分けられます。
多発血管炎性肉芽腫症(GPA:Granulomatosis with PolyAngitis)は、以前はWegener(ウェゲナー)肉芽腫症と呼ばれていた疾患です。 全身性に血管炎を伴う肉芽腫形成疾患で、C-ANCAが高率に陽性となります。特に上気道、肺、腎臓に壊死性血管炎と肉芽腫を生じます。Wegenerの方がキャラ付けがしやすく、語呂合わせを作りやすかったのですが、多発血管炎性肉芽腫症と無味乾燥な名前に変わってしまいました。ゴロ界としては、やりずらい。
顕微鏡的多発血管炎(MPA:Microscopic PolyAngiitis)は、 主に小血管に壊死性血管炎の認められる疾患です。主に肺と腎臓が障害され、P-ANCAが高率に陽性となります。かつては、結節性多発動脈炎(PN:Polyarteritis Nodosa)に含まれていましたが、PNには見られない肺障害があることに加え、PANCAが高率に陽性となることから、現在はPNとは異なる疾患として区別されています。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA:Eosinophilic Granulomatosis with PolyAngiitis)は、以前はアレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA:Allergic Granulomatous Angiitis)、またはChurg-Strauss(チャーグ・ストラウス)症候群(CSS:Churg Strauss syndrome)と呼ばれてきた血管炎症候群です。 全身性壊死性血管炎で、P-ANCAが陽性となります。喘息様症状に加え 、組織学的に好酸球浸潤を伴う点が特徴的です。
染色パターン | 対応抗原 | ANCA関連血管炎 | |
C-ANCA | 細胞質が びまん性に染色 | PR3 | GPA(多発血管炎性肉芽腫症) |
P-ANCA | 核の周辺部が染色 | MPO | MPA(顕微鏡的多発血管炎) EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症) |
P-ANCAのゴロ パパの真っ裸(まっぱ)エグい
語呂合わせ
パパの真っ裸(マッパ)エグい
年頃の女性が口走りそうなセリフですね。医大の学費を払ってくれているのはパパなんですよ。慎みましょう。略語が覚えられない方は、MPA→Micro→顕微鏡→ 顕微鏡的多発血管炎、EGPAはEosin→好酸球→ 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と連想すれば思い出しやすくなります。日本語が長くて覚えられない方は呪文のように唱えましょう。
MPO-ANCA PR3-ANCA 覚え方
P-ANCAの多くは、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)を標的抗原としており、これをMPO-ANCAと呼びます。C-ANCAの多くは、プロテイナーゼ3(PR3)を標的抗原としており、これをPR3-ANCAと呼びます。MPOとP-ANCAはPが共通しています。PR3とC-ANCAは、左右反転させたCを上下に繋げれば3になります。
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